世間でよく言われる「歌唱力の遺伝」って本当にあるの?

2016年7月1日

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最近テレビで度々放映される「カラオケバトル」のような番組を見ていると、「この人上手いなあ。この人の親達ってさぞかし歌が上手いんだろうな」と、無意識に感じます。
運動神経のことを考えると、小学校の運動会を思い出してみても、足の速い人を親に持つ子たちは大抵速かったと思います。私はいつも遅かったので、足の速い人を親に持つ友達が羨ましくてしょうがなかった。私の親は、両方ともに遅かったんです。

だから、それを歌唱力に置き換えてみても同様だと考えるのは自然なのかも。音感やリズム感などの集大成である歌唱力って、やはり遺伝に依るところが大きいのかなと。。
音感やリズム感だけでなく、声の質、声の艶に至っては、やはり親に依存するところが大きいのではないだろうか、、

でも、よくよく考えてみると、本当にそうなんでしょうか?
具体例を挙げて考えてみましょう。

例えば、テレビで放映されたことがある「家族そろって歌合戦」のような番組。そこで繰り広げられるのは、歌の上手な子供たちと、それほどでもないご両親。あるいはその反対、等々。
そのような番組を視聴しているときは、歌唱力って遺伝しないものなんだなあ、などと思ってしまいます。

でも、これならどうでしょう?
森山良子さんを母に持つ森山直太朗さんや、松田聖子さんを母に持つ神田沙也加さん。

森山直太郎-森山良子
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二組とも、母も子も、ともに日本を背負って立つような大物歌手になりましたよね。
そして、ロックとは思えないほどの繊細な声で我々のハートを鷲づかみにするアーティストの、ONE OK ROCKのtaka(森内貴寛)さんとMY FIRST STORYのhiro(森内寛樹)さんもです。彼らはともに、森進一さんと森昌子さんの息子です。

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彼らの歌唱力は、甲乙つけられないほど素晴らしいものであり、歌詞に含まれる人間臭さや憂いなどを存分に表現しています。二人の、完成度の高い歌唱力と表現力は、この子達のご両親がただものではないことを物語っているようです。

ご両親の森進一さん、森昌子さんは共に甲乙つけがたいほどの日本を代表する演歌歌手です。ここで、演歌とロックはやや違う気もするのですが、歌としてやはり音感、リズム感は当然共通するものであり、演歌歌手としてのご両親の素質を、二人のアーティストは存分に受け継いでいると思われます。

さらには、ご両親それぞれの滑舌の良さまで、二人のアーティストはしっかりと受け継いでいるようです。taka(森内貴寛)さんは、英語がネイティブ並にうまいんですよ。
そして、二人の音楽を聴き比べてみてください。本当に引き込まれて、泣いてしまいます。これは、ご両親による演歌の歌唱表現を、二人の息子さん達がロックの歌唱表現として見事に開花させているということですよね。

以上のことから総合的に判断すると、歌唱力って、遺伝的要素もあるとは思いますが、それと同じくらい環境的要素も大きいと考えられます。つまり、感受性の高い子どもの発達段階において、偉大な歌手としての親である学習モデルが優れていればいるほど、それによる学習効果が有効に機能するのではないかと思われます。

ですので、仮に子供が本来はそれほどの歌唱力の素養を持っていないとしても、音程のしっかりとした学習モデルとしての親を見たりその優れた歌を聴いたりして育つうちに、本来の素養に自然に磨きがかかり、優れた歌唱力を持つようになるのではないでしょうか?

このことは、歌だけに限らず、例えば野球やサッカーなどのスポーツにおいても、柔道のような武道においても、歌舞伎や能のような古典芸能においても、いつも傍にいる優れた親を手本として学習しながら育つ中で、自然にそして着実に磨きがかかることによって結実する、ということなのでしょう。