ホントに今年50歳?! スガシカオの、変態道に学べ。

2016年6月19日

■黙っていればアーティスト、口を割れば気さくな兄貴。

くしゅくしゅのワントーン明るめな髪型、トレードマークのファッションサングラス、安っぽい若づくりではなく、チャラ男とのすれすれをうまく外して上品にまとめてしまう。そのキレのいい感性は、スガシカオの音楽にも通じて見える。

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出典www.goo.ne.jp

スガの存在を多くの人が知るようになったのは、自身の曲ではなく、SMAPの『夜空ノムコウ』だった。作詞を提供し、ファン以外の耳にも強く印象づけたことから、SMAP初のミリオンセラーを記録。

のちにKAT-TUNのデビュー曲も作詞を手がけ、『Real Face』はいきなりのミリオン。アイドル業界に強烈なインパクトを与えた。
音楽雑誌に載せられたフォトショットは、いかにもアーティストという体で近寄りがたい。だが気さくなトークが人々を引き寄せる。ようは振り幅が広い。

今のイメージに落ち着くまで、おおっぴらにしないだけで彼にも紆余曲折はあった。「これがスガシカオ?」に始まり、変態に変態をくり返し、磨き上げてきた。

転がる先々で拾い上げたものが楽曲に注がれる。そしてスガは、いよいよ「五十にして天命を知る」のだろうか。イケてる大人への変態道、その軌跡をおさらいしよう。


■ラジオ・トークから漏れる、サラリーマンの残り香。

スガシカオは97年のデビューから、ラジオ番組をいくつか渡り歩いた。その時間は、歌の時のようなストイックさはほぼ皆無。リスナーからのFAXに腹の底から笑い、ラジオの特性上聞き逃すと意味不明になりそうな場面では、さりげなく復唱してエスコート。

シンガーソングライターとしては新人だが、企画制作会社でのキャリアはある。放送として安定感があり、リスナーをファンへと染め変えていった。

一気に名が広まる前後は、J-WAVEにレギュラー枠をもつ。ある深夜、山崎まさよしを筆頭に、ゲスト達が生放送中に宴会を始めるという自由すぎる事態に。
ここでも元サラリーマンらしく、スガは発信とリスナーの間に立ち、収拾のつかなさをむしろ面白味に利用して、他に類を見ない放送に仕立て上げた。

音楽は趣味、堅実にサラリーマンで食べて行く気でいたからこそ身につけた実技。それが三十路を前に突如「たくさんの人に聴かせたい」衝動に駆られた。スガはそれを押し殺すどころか、すべてを捨てて裸で音楽の世界に飛び込む。
一見クレイジーだが、当時の彼にはごく自然の行為だった。


■初期のPVは、時代錯誤のフォークソング歌手?

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出典www.tis-home.com

デビュー曲「ヒットチャートをかけぬけろ」は疾走感あふれる曲調で、スガの背中を勢いよくプッシュしている。ところがPVには新人のフレッシュ感はなく、全編モノトーン、ワンレン・ボディコンの90年代に何故かフォークソング歌手のようなスガのファッション。そしてカセットから引っ張りだしたテープを、頭から体中グルグル巻きにする謎なシーンもある。

4枚目の「愛について」は、映像がサンドベージュでやや明るいが、フード付きのロングローブを着て魔術師さながら。彼は両手で鳩を持ち、歌い、海辺を彷徨う。ファンの間では「鳩について」と裏タイトルがつくほど、芸術志向がずば抜けすぎて常人には理解が難しかった。

スガを通して再現される、ファンクの熱かった時代、空気や匂い。日本でフォークが熱かった時代とクロスオーバーさせたかったのか?PVのコンセプトは、カセットテープと鳩の謎と共に多くは語られていない。


■とんねるず石橋貴明に、悪魔君と呼ばれて。

SMAPの「夜空〜」効果に加え、杏子・山崎まさよしとのユニット「福耳」の活動もあり、スガシカオの露出は追い風に乗る。この頃はもうアイウェアを愛用し、パーマっ気のない黒髪、知的でさりげなくおしゃれな「メガネ男子」のビジュアルだ。

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出典www.office-augusta.com

女性受けの良いスペックが揃ったのだが、13年半続いた当時の人気音楽バラエティ「うたばん」で、MCの石橋貴明から「悪魔君みたい(参考カットは藤子不二雄Aの魔太郎がくる!!)」と言われてしまう。その後アブノーマルな話題もふられ、そうした場にまだ不慣れだったスガは、ネガティブな色をつけられるがままだった。


■セクシーと切なさを自由に操る、ライブの調教師。

しかし一度でもミュージシャンの顔を知れば、ネガティブは払拭される。福耳のシングルには、スガが作詞作曲した「Happy Birthday」もカップリングされ、声質が似る杏子とのハーモニーの反響は大きかった。

ライブでは、スガの曲「イジメテミタイ」に杏子が絡むとエッジが一層鋭くなり、会場のボルテージも上がるのだ。
錆びたナイフのようなスガのボーカルは、深く食い込み、ズタズタにされるのが快楽に変わる。

あるライブではバックダンサーがハイになりすぎ、きわどいボンデージ姿なのも忘れて踊り狂った。ミュージシャン・スガシカオは、やぼったい悪魔君どころか、クールでエロ・カッコいい。そして「愛について」や「黄金の月」などの切ないナンバーは溜息もので、このギャップにファンはどっぷり溺れていくのだ。


■来年のデビュー20周年は、ミラクル・プレゼンター。

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出典recolab.net

NHK総合の番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」をキッカケに結成されたスペシャルバンドkokua(コクア)は、スガシカオがボーカルを担当し、名曲「Progress」を世に送り出した。

10年を経て今年、同タイトルのアルバムをリリース。ホールツアーも実現し、Kokuaの顔としての活動も充実している。
動植物において変態は発育と同意だ。変態を繰り返したスガだけに、そろそろ発育が止まるだろうと思いきや、来年とんでもない節目を迎える。デビュー20周年だ。

アニバーサリーとして、2017年5月6日に「スガフェス」inさいたまスーパーアリーナの開催は決定。

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それ以外はまだ、つまびらかにされていないのだが、とにかく「20年に一度のミラクル」を起こすのだという。開演13時で終演21時(予定)という長丁場な予告だけでも「ドキドキしちゃう」のは、ファン以上にスガ自身かもしれない。

次はどんな変態ぶりをお披露目してくれるのか、目が離せない。